仕事をしていて、あるいはスポーツをしていて、「もう、体力の限界!」という状態に達して倒れ込みたくなること、ありますよね。
それ、虫も同じなんです。
はらいふにはゲジゲジと呼ばれる虫が、たまーにでます。
はらいふに住み始めてから見るようになったので、初めて見たときはこの世の終わりをみた気がしましたが、今ではもう慣れっこです。
段々と可愛いヤツにすら思えてくるから不思議です。
天井や物陰からカサカサカサ…と出てきては、人間に見つかると
「あ、見つかっちゃいました!?ごめんなさい。すぐに隠れますね!!」
と言っているかのように、すぐにまた物陰に入っていく。
人間に対して、全く害のない生き物です。
あいつは、自分の見た目が、人間にとって不快ものであることを知っているのでしょうか。
人を驚かせようという気持ちはないようで、見つかるとすぐに隠れていく、おとなしい生き物です。
そんなゲジゲジは、人間の天敵であるゴキブリを食べてくれる益虫だということもあり、はらいふでは基本的には殺さずに外に逃がす方針をとっています。
引っ越してきたばかりのときには、虫退治の先輩である同居人たちに教えて貰った方法で退治していました。
ずばり、トングで捕まえて窓の外に放り投げるのです。
しかし、やつは非常に足が速いので、捕まえるのは一苦労。
本体を押さえられなければ、脚だけを切り離して逃げていきます。
教えられたとおりに愚直にやるものの、なかなかうまくいかず、段々と無害なゲジゲジを憎み、恐れるようになっていきました。
「あいつが出てくると、また脚だけちぎって、逃してしまう…。。」
そう思ってしまうと、ゲジゲジのことが本当に怖くなってしまいます。
それからというもの、なんとかゲジゲジ退治にいい方法はないかと試行錯誤するようになりました。
ゴキジェットを使って弱らせることもしましたが、やはり、どれだけ怖く憎くても、ああいったもので攻撃してしまうのは忍びない。
その結果たどりついた方法が、「体力の限界を、狙え。」です。
具体的な方法は、非常にシンプルです。
ほうきとちりとりを持って1分間追い回す。
それだけ。
ゲジゲジは、身体が細く、脚が多いため、そもそも体力があまりありません。
ですので、ほうきとちりとりで物陰に逃げ込まないように1分間も走らせると、急に動けなくなってきます。
「ごめんなさい…許してください、もう無理です…。。」
そんな声が聞こえてきます。
疲れてへとへとになったところを、ちりとりにのせて、窓からそとにぽいっと投げます。
着地したゲジゲジは、自然の中に帰っていきます。
これが、引っ越してきてからの1ヶ月で身につけた、ゲジゲジとの共存の在り方です。
はらいふでは、日々いろいろなことを学びます。
仲間との対話の時間やはじめての野草調理など、いろいろな体験を通じて学ぶのですが、こうして虫との戦いの中からも学ぶことがあります。
「どんなに苦手な相手でも、弱っているときを狙えば、勝てる。」
「敵だと思わず、この社会で広く共存する仲間だと思って観察すると、相手の特性が見えてくる。」
特に、この「観察」はとても大切な力です。
人間も、ゲジゲジも、観察すれば、色々なものが見えてくる。
愛着がわいてくる。
観察することから、すべての対話は深まっていくのです。
はらいふで、対話しましょう。
「体力の限界を、狙え。」